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ゲーム事業に本格参入したパルコが語る、娯楽を超え「カルチャー」として日常を彩るゲームの未来とは

オンライン対戦や配信文化の広がり、eスポーツの台頭を背景に、今やゲームは世代や属性を超えて広がる巨大市場へと成長しています。

そうした潮流の中、「カルチャーの発信地」として半世紀以上にわたり都市型商業施設から演劇・映画・アートまで幅広いエンターテインメントを手がけてきた株式会社パルコが、2025年にゲームレーベル「PARCO GAMES」を始動し、本格的にゲームパブリッシング事業へ参入しました。

リアルな“場”を持つ企業が、なぜデジタル発のコンテンツに挑むのか。その狙いは、市場拡大の波に乗ることだけではありません。

今回は「AIM1」「Void Gaming」などのゲーミングデバイスブランドを展開するAndGAMER株式会社でマーケティング戦略を担当する阿曽尾が、パルコでゲーム事業開発を担当する森本さまにゲーム事業の可能性について話を伺いました。

ゲームを娯楽にとどめず、ファッションや街と結びつけながら日常へと浸透させていく、ゲーム市場の新潮流をひもときます。

森本凌介さま / 株式会社パルコ ゲーム事業開発部
2025年8月に始動したパルコのゲーム事業を統合するレーベル「PARCO GAMES」にて、イベントの企画などを担当。入社以来長きにわたって、ポップアップや企画展などのリアルイベントを手がけてきた経験を活かし、ゲーム事業のさらなる拡大を目指す。

阿曽尾祥吾 / AndGAMER株式会社 マーケティングチーム
大学在学中から「Call of Duty」シリーズで約5年間プロ選手として活躍し、日本代表として世界大会に出場するなど競技シーンの第一線で経験を積んできた。現役時代にスポンサーとして支援を受けていたAndGAMERに入社し、現在はマーケティングチームの中核メンバーとして活動中。製品プロダクトのPRからコラボレーションのディレクションまで幅広く担当し、プロ選手時代の実戦経験と業界への深い理解を活かしたマーケティング戦略を展開している。

「カルチャーの発信地」であるパルコが、今ゲーム事業に踏み出すワケ

阿曽尾:パルコがゲーム事業開発に乗り出したのが2023年ごろのことでした。昨年夏にはインディーゲーム作品の流通・マーケティング・開発支援を担うゲームパブリッシング事業に本格参入し、新レーベル「PARCO GAMES」を立ち上げるなど、今、ゲーム事業の拡大に踏み出している背景についてあらためて教えていただけますか?

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森本さま(株式会社パルコ ゲーム事業開発部)

森本:これまでパルコは50年以上にわたって商業施設を運営してきた中で、ショッピングの場にとどまらず、演劇や映画、音楽、アートなどさまざまな事業展開を図ってきました。そうした経験を通じて、私たちは「カルチャーの発信地」としての自負を抱いています。

ここ最近、世界的に見てもゲームはマス層にも広がりつつある重要なカルチャーの一つです。パルコとしてもより深くゲーム業界と関わり、新たなカルチャーを発信していきたいと考え、ゲーム事業の拡大を進めています。

阿曽尾:2026年にはゲーム市場全体で年間約6%の成長、eスポーツ市場は2034年にかけて15%以上の成長が見込まれていると言われています。このような環境の中で、パルコのような大手企業がゲーム業界に参入し、新たなカルチャーを発信することは、業界全体にとっても大きな意義がありそうですね。

森本:市場の拡大はチャンスである一方で、毎日のように新作タイトルがリリースされている今はまさにゲーム戦国時代ですよね。そのような中で、パルコが世の中にどのような価値を提供できるのか、日々模索しているところです。

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阿曽尾(AndGAMER株式会社 マーケティングチーム)

阿曽尾:森本さんは10年近くパルコでエンターテインメント事業に携わっていますよね。そんな森本さんから見たビジネス視点でのゲームの魅力はなんでしょうか?

森本「多様性」でしょうか。ゲームというと、デジタルゲームをイメージする方が多いと思いますが、ボードゲームやTRPG(テーブルトーク・ロールプレイング・ゲーム)などのコミュニケーションゲーム、謎解きなどのイベントもゲームです。

2024年にはTRPGの『カタシロ』をパルコ劇場にて演劇体験として展開するなど、これまでパルコが培ってきたアセットを活かしたさまざまな展開に挑戦しており、今後の広がりも期待できると考えています。

デジタルからリアルな体験へ。変わりゆくゲーム業界でムーブメントを起こすには

阿曽尾:パルコのゲーム事業開発のビジョンやコンセプトについて、あらためてお聞かせください。

森本:パルコはゲーム業界においては後発組だからこそ、「ゲームのために何ができるか」というステートメントを掲げています。

パルコが期待されている強みは、「場」を持っていること。そして、リアルな空間、街づくり、広告といったこれまでの経験と知見を組み合わせることで、新しいクリエイターとともにゲームの世界を拡張していくことが私たちの目指す未来です。

阿曽尾:インターネットを軸に語られることが多かったゲーム体験を、いかにリアルな空間や日常生活に拡張していくか。その点において、都市部に発信拠点を持つパルコの強みは非常に大きいですよね。

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森本:そうですね。ショッピングセンターとしてファッションカルチャーの発信を軸に発展してきた立場から、デジタルゲームであってもグッズ展開やポップアップイベントなどリアルな体験価値を生み出すことには今後も注力していきたいです。

アパレルグッズ一つとっても、作品やタイトルの世界観をただ再現するだけでなく、本当に私たち自身が「着たい」と思えるようなファッション性の高いデザインを目指していて。

「推し活」としての側面が強いグッズは、「家で楽しむにはテンションが高まる一方、外で使うには躊躇いがある」と感じる方も少なからずいると思うんです。

そうした課題に、ファッションカルチャーをパルコだから実現できる方法で向き合い、そのゲームのコアファン以外の方にもゲームカルチャーへのアクセスを広げていきたいです。

阿曽尾:パルコのそうしたアプローチは、AndGAMERが目指している「ゲーミングライフスタイル」の考え方とも通ずるものを感じます。

ちょうど今(※取材日:2026年2月6日)、ここ渋谷で「SHIBUYA GAMES WEEK」が開催されていますが、こうした取り組みもゲームカルチャーの広がりを目指してのことなのでしょうか。

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森本:そうですね。ファッション業界の「パリコレ」「ミラノコレクション」などのファッションウィークは、マス層にも有名ですが、実はゲーム業界でもロンドンやメルボルンで「ゲームズウィーク」が開催されているんです。

これを日本でも開催し、ゆくゆくは誰もが知るイベントにしていきたいと考え、世界的認知度の高い「渋谷」を舞台としたゲームズウィークを立ち上げることにしました。

東急不動産株式会社をはじめとする、50以上の企業やクリエイターに参加していただいており、イベントの告知開始後はSNSでも大きな反響がありました。

ゲームメディアだけでなく、ファッション、アート、イベント情報、ビジネスなどさまざまなジャンルのメディアに今回の取り組みを取り上げていただけたのも、パルコ主催ならではの強みだったと考えています。

阿曽尾:AndGAMERストアにも、スタンプラリーに参加してくださっている方が朝から続々と訪れており、「SHIBUYA GAMES WEEK」の反響の大きさを感じています。

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「SHIBUYA GAMES WEEK」に合わせて、“ゲームカルチャーを遊べる”あたらしいゲームセンター「PARCO GAME CENTER」をオープン(2026年2月6日~3月2日)

個人がおもしろいゲームをつくるAI時代に重要な“パブリッシャー”の存在

阿曽尾:昨年夏に新規参入されたゲームパブリッシング事業についても伺いたいです。本事業ではインディーゲーム領域に特化する方針とのことですが、インディーゲームの可能性についてはどう考えていますか?

森本インディーゲームは業界にとって、今後ますます重要になるでしょうね。AIやUnityといったツールの普及により、開発の知見が少ない個人でもゲーム制作ができるようになった今、世の中をあっと言わせるタイトルがインディーズから出てくることがより増えてくると思っています。

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阿曽尾:おっしゃる通り、ここ数年、大手企業による大規模プロジェクトでのシリーズ化やリメイク中心の傾向が強かった中で、最近になってインディーゲームの需要があらためて注目されるようになってきました。

SteamのインディーゲームでもAIを活用しているタイトルが増えており、個人の創造性が求められる時代へのシフトが起きていると感じます。

森本:ただ、数多くのゲームが世に出るということは、その分埋もれてしまう可能性も高まるということです。だからこそ、ゲームパブリッシャーの役割が重要だと考え、「PARCO GAMES」として新規参入に至ったという経緯があります。

阿曽尾:現在『南極計画』『Constance』『The Berlin Apartment』の3タイトルをリリースしています。これらの新規クリエイターとは、どのように出会っているのですか?

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森本:「PARCO GAMES」としてレーベルを立ち上げてからは、直接お問い合わせをいただくことも増えましたが、私たちとしてはインディーゲームの展示会などに足を運び、実際に触れてコミュニケーションを取ることを大切にしています。

直接クリエイターの想いを聞き、ファンの熱量を感じたうえで、「PARCO GAMES」がお役に立てることがないか検討した結果が、これまでの新作リリースにつながっています。

阿曽尾:私たちも、IPとのコラボレーションやeスポーツチームとの協業の際には、ファンミーティングに参加するなど、リアルな場に足を運んだうえで施策を検討するので、パルコの考え方には深く共感します。

ゲームカルチャーの浸透と「“理解(わか)ってる”プロダクト」

阿曽尾:今後、ゲームがファッションや音楽と並ぶカルチャーとして定着したとき、森本さんは「ゲーム」や「ゲーマー」への世の中のイメージがどう変わっていくと考えていますか?

森本:今も一昔前と比べると、ゲーマーのイメージは変わりつつありますよね。私自身、幼い頃は親に隠れてこそこそゲームをしていた経験がありますが、今はゲーム自体がコミュニケーションツールとして世の中に受け入れられつつある印象があります。

オンライン上でゲーム仲間と遊んだり、配信者を推したり、老若男女がインターネットに触れる時代になったことでゲームがさまざまな層の日常に広がってきていると思います。

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オンラインだけでなく、ボードゲームもブームとなっているので、今後ますますゲームが身近な存在になって来るのではないでしょうか。

阿曽尾:私がプロゲーマーとして活動していた時代は、「ゲームのプロって何?」と、ゲームを仕事にすることに対して疑問を持たれることも多かったんです。

でも、コロナを機にゲーマーの芸能人やインフルエンサーが配信したりゲームについて発信したりするようになった結果、ゲームへのハードルがぐっと下がったような感覚があります。

先日eスポーツチームのイベントに参加した際には、親子連れが全体の8割近くを占めていました。パルコのようにさまざまな企業がゲーム業界に参入していく中で、今後「ゲームをプレイすることはかっこいい」というポジティブなイメージがさらに強まっていくとうれしいです。

その中で、AndGAMERはゲーミングライフスタイルカンパニーとして、まずはデバイス面からゲーム業界の追い風を加速させる存在でありたいと考えています。

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AndGAMERの「AIM1」から発売されているキーボード「瞬(MATATAKI)」

従来のゲーミングデバイスは派手なバックライトなど「The・ゲーマー」といった印象を抱かせるプロダクトが多かったと思います。しかし、私たちが展開するのは、会社でも自宅でも、日常の一部として使っていただける洗練されたデバイスです。

ゲーマーがつくる「“理解(わか)ってる”プロダクト」という軸を持って、ゲーマーのライフスタイルをもっと自由に、もっと豊かにデザインしていきたいと森本さんのお話を聞いてあらためて感じました。

森本:「瞬(MATATAKI)」、実際に手に取ってみたのですが、本当に使いやすいですよね。パルコのゲーム好きメンバーにも好評でした。

日常に馴染むプロダクトを目指しつつも、ゲーマーが本当に使いたくなるデザイン・機能を反映されているのは、さすがAndGAMERならではの強みだと感じます。

ゲームをする・観る・推す「すべての人」が、もっと楽しい世界へ

阿曽尾:こうやってゲームの過去と未来について語る機会は、普段お仕事でご一緒していてもなかなかないですよね。せっかくなので、今後2社で一緒に挑戦できそうな未来について考えてみたいと思います。

森本:「SHIBUYA GAMES WEEK」のように、ゲームのリアルな場を演出する際にまたご一緒できたらいいですよね。ちょうどAndGAMERストアと、パルコの本社ビルは真となりにあるので、またお話ししましょう。

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阿曽尾:パルコは全国の主要都市に拠点をお持ちですが、渋谷以外の都市でも同様の展開はありえますか?

森本:そうですね、「SHIBUYA GAMES WEEK」も始まったばかりで、具体的に決まっているわけではないのですが、全国でのゲームイベントもタイミングが合えばぜひ、と思っています。

AndGAMERが展開するデバイスのポップアップなども、渋谷に気軽に訪れるのが難しいファンの方に喜んでいただけそうですよね。

阿曽尾:弊社が提携しているインフルエンサーさんをお呼びして、パルコのゲーム事業について知っていただいたり、来店いただいた方とのタッチポイントをつくったりといった展開も考えられそうです。

森本:お互いのつながりや強みを活かして、ゲームカルチャーの発信をより強めていけたらうれしいです。

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阿曽尾:最後にゲームを愛する読者や、AndGAMER、「PARCO GAMES」それぞれのファンに向けてひと言メッセージをお願いします。

森本:ゲームは楽しみながら熱中するのが一番です。「自分はまだゲーム初心者だから…」「やるならとことんやり込まないと」などと、気負うことなく楽しんでいただきたいです。今後もゲームカルチャーの発信者として、皆さんにうれしいニュースをお届けしていくので、ぜひ期待していてください。

阿曽尾:この対談を機に、ゲームの新たな魅力を知っていただけたらうれしいですよね。私からはゲームカルチャーはゲーマーのためだけのものではなく、ゲームを見るのが好き、ゲーマーを推すのが楽しいなど、ゲームを楽しむすべての人のものだと伝えたいです。

それが「ゲーミングライフスタイルカンパニー」として目指す、ゲームの未来です。

♦協業やコラボについては、AndGAMER公式HPよりお気軽にお問い合わせください。

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